到着すると、まずはディナーを食べる。ショッピングモールにある家庭的な雰囲気のレストランを選ぶ。いやイギリスでは、日本のファミレスみたいなところを見なかった。もちろんファーストフード店とかはあるけど、アメリカ流の気楽に入れるレストラン?というのが、ロンドンにはあまりない気がした。その代わりパブとかはたくさんある。入ったレストランもやはりちょっと最初は入りにくい感じ。ただカップルや家族連れはいて、おひとり様でも大丈夫みたい。店によっては入った途端「ん?」って感じのところもある。メニューを見せてもらい、魚のフライを頼む。すると出てきたのは、日本なら居酒屋とかでよくあるホッケくらいの白身魚のフライ。中々普通においしかった。ちなみに前回ロンドンに来たときは、インドカレーがめちゃくちゃ美味しくて黒色の牛カレーを今でも覚えている。今回もあれを食べたかったのだが、最終日に探して行ったカレー専門店が閉まっていたこともあり、残念ながら逃してしまった(次に来ることがあればぜひ食べたい)。
その後、奇跡的なことが起こった(これが先に書いた「奇跡」だが、カレーとは関係ない)。というのも、何かに惹かれるように歩いていると、大きな教会を見つけたからだ(イギリスではそれほどデカくないのかもしれないが)。その教会の中に入ると、ほとんど誰もいないではないか。係りの人同士が少し話しているだけ、どうやらもう閉めてしまうようだ。中は日本では考えられないほど広い空間。建物もそうだが、中の飾りや作りもいちいち凝ってて、本場である。おもむろにビデオを再び回し始める(係りの人に聞いてから)。しかし今度は旅の記録ではなく、映画用だ。そう、ちょうど日本で撮影中のインディーズ映画で、教会のラストシーンが必要だった。この素晴らしい教会を、ぜひ使いたい。
ほんの五分とか十分だけど、カメラを回させてもらった。ほんと奇跡的で、これは映画「愛と眼に見えない光」のラストシーンで見れる。最後には係りの人が来て「もう閉めるから、明日来るといいよ。昼間だとあそこのステンドグラスが太陽の光で明るいから。昼間のほうがきっと綺麗だよ。」と言ってくれた。なるほど、「はい、わかりました。ありがとうございます。」と返事して教会を出る。ただ次の日は最終日で、すでに予定も組んでいたから、チェルシーにもう来ることはなかった。それに夜の荘厳な雰囲気のほうが、結果的に映画のラストシーンにあっていた。昼なら人も多くて、映画としては使えないだろう(設定は日本なのだ)。何より、その教会はあのエリオットの住んでいたマンションからも近い。映画のエンドクレジットでは、T・S・エリオットの詩を献上するつもりで、ずっと前から(約五、六年前から)脚本に書いていたのだ。
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