イギリス紀行14

文化とは、「同時」に作られるものなのかもしれない。観客が育ち、いい作り手も育っていく。いい作り手がいれば、いい観客も育つ。またそれらが芽吹く土壌も大事だ。イギリスにはきれいな水があるからビールもおいしいのかもしれない。日本では米から作られる日本酒にその粋は詰まっている。それも文化、歴史としての長さの問題でもある。まだまだ日本にビールが来てから、言っても日が浅いのだ。発泡酒で満足するくらいの舌なら、やはりそれくらいのビール文化なのだろう。旨いビールを飲みながら、そんな気づきもあった。

ハマースミス、一階がPUBのユースホテルには二泊した。それからハイドパーク近くのユースホテルに移動。こちらは古いレンガの建物だ。駅から八分くらいだろうか。雰囲気はだいぶ落ち着いている。アルバートホールのすぐ隣である。中もわりとオープンで、食堂もあり、すぐ友だちもできそうなほどである。実際、ドイツ人の中年女性と知り合いになった。彼女は最初部屋に入ったら、カードキーを失くして大騒ぎしていた。「知らない?」と聞かれて、今来たばかりなのに知るわけないなどと答えたが、疑われていた。しばらくして彼女はキーを発見し、疑いは晴れて逆に少し仲良くなれた。

そう、そのユースホテルも八人部屋とかで、男女が一緒である。ベッドは(もちろん)一人一つだが、すぐ上や横で女性が寝ている。日本ではあまり考えられない。言ったら悪いが、そういうのが平気な女性だから(完全に偏見かもしれないが)おそらくそれほど魅力的でもないようだ。ま、そんなことはお互い知ったことはない。他に女性だけの部屋もあるが、そちらのほうが割高である。このユースホテルでもう一つ感心したのが、食堂の朝食がドネーション(寄付)であることだ。食パンにミルクとかその程度だけど、各自の善意で成り立っている。これは若者のホームレスとかを救うためだとかいう。日本では考えられないことだ。キリスト教社会だなと思う。

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