イギリス紀行24

その日は朝から小雨がパラついていた。ロンドンらしい気候だ。現地で買った黒い折りたたみ傘を持ち、バスに乗り込む。乗り換え地にちょうどロイヤル・アカデミー・オブ・アーツという美術館があったので入ることにする。実はここ、美術館を併設した学校なのだった。そうとは知らず入ったのだが(無料で)、誰でも自由に見学できるらしい。美術品や絵が飾ってある。「少し小さめな美術館だな」とは思ったのだが、そういうことだった。ロイヤル(王立)というのがわりとよくみかけるのも、イギリスの特徴だろう。日本では王立の学校などはないわけで、違いを感じた。

中にあるカフェで、少し(監督としての)メッセージ動画を自撮りする。そのあと、近くのレストランで昼食をいただく。なんだか高そうなお店なのだけど、料金を見るとそこまで高くなかった。そこでパスタを頼む。すごく雰囲気があるお店で、ウェイトレスさんも可愛かった。ロンドンの女の子は本当に可愛い(彼女はイタリア系かもしれないが)。男性もシュっとしている。パスタもモチモチしてて美味しかった。たしか二千円ちょっとくらい。気持ちいい内装のレストランで、少しセレブ気分を味わった後、地下鉄に乗りこむ。

乗り換えも含めて四十分少し、地上に出るとそこは少しさびれた?郊外の町。今まで中心部ばかりにいたから、こういう所は興味深かった。そして駅からさらに「必殺の」バス移動。バス移動はリスクがあるのでそれほど好きじゃない。ただ雨の田舎町をバスで移動するのは悪くはない。沈鬱な表情をした(ように見える)イリギス人たちとともに、窓から景色を眺める。まさに旅とは、移動すること。十五分くらいバスに揺られただろうか、目的地と思わしき場所で下りる。思わしき、というところが不安だ。傘をさし、あたりを見渡す。「ん?」よく分からない。いわゆる「ここは何処?」状態。一人旅に出るとこういうことは度々ある(たび、だけに)。MAPも大まかなものなので、だいたいの感覚で歩くしかない。これが危険なのだ、大きく方向を間違えていることがある。しかし今回は、わりとすぐにそれらしき建物を発見した。普通の家を少しきれいにし、標識などもつけたような「何かの家」風なもの。そこがまさに「ウィリアム・モリス邸」だった。

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