ただこのイギリスの映画祭に参加して思ったのは、これこそ自分のしたかったことだと。つまり英語を使いながら、映画について多くの人々(世界中の)とコミュニケーションをとること。もう一度ここに帰ってきたいし、この経験を持ち帰り「何か」日本映画業界の発展にも寄与したいと。他にも日本人の監督はいて、「ひとくず」の上西監督など受賞してらした。本当に刺激になった。ただ英語はできてないので、自分ならもう少しは英語を話すことはできるのにと感じた(それは他の日本人の監督ができにくいことだろう)。留学時代に感じた劣等感(英語が母国語でないという)とはおさらばし、今は日本人として堂々と片言英語を話すのだ。幾人もの監督や俳優とコミュニケーションをとり、連絡先も交換したり、本当に刺激になった。
受賞できなかった悔しさはあったが、自分の意義(役目)を見つめなおすきっかけになった。もっと言えば、人生の意義でさえある。商業映画の現場を離れ、ここ何年間もインディーズ映画を作り続けていて、どこか空しさを感じないわけでもなかった。何しろ劇場公開されない映画を作っているのだ。頼りは映画祭だけである。ようやく英語字幕をつけ、海外映画祭に出品できるようになった。ノミネートされ授賞式にも呼んでもらい(自費だけど)、これだけでもこの旅の価値があった。ちなみに後日、別の映画祭で受賞することになった。それはコロナ禍で式典に参加できなかったのは残念だったけど(しかし逆に言うとこの時にイギリスに来ておいてよかった)、少しづつ目標を達成しているのは自信につながる。また先に書いた上西雄大監督の作品は配給も決まり、ユーロスペースなど東京で劇場公開されていた。これも自分事として、とてもありがたい可能性に感じられた。
最終日の前に、完全フリーな日があった。どうしようかと迷った。行きたいところは、ロンドン塔やシェイクスピアのグルーヴ座など。ただロンドン塔は市内だし、最終日にも行くことができる。シェイクスピアが戯曲を披露したというグローヴ座(を復活させたステージ)は、演劇や演技に携わるものとしてぜひ行っておきたかった。しかし二月のこの時期はやっていないということで(屋外なのだ)、残念ながらあきらめる。で、「地球の歩き方」をむさぼるように読んでいると、ロンドン北部に面白そうなところがあった。ウィリアム・モリス邸だ。ウィリアム・モリスについては全く知らなかったが、本によるとイギリスを代表する文化人みたいなことを書いてあった。しかも近くにガーデンもある。これは行くしかない。
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