イギリス紀行26

一つには、田舎生活というか田園生活のことである。これは先のハイドパークのくだりでも書いたので割愛するが、実感として庭園文化、郊外文化、田園生活のよさをまざまざと知れた。だからといってそれを日本にそのまま持ち帰り、何かをできるわけでないのが悔しくもある(こうして文化についての文章を書くことはできる)。本当にイギリスの田園生活を知るには、やはりホームステイなどしてみないことには分からないだろうが。日本は相変わらず、豊かな都会と貧しい地方(田舎)に分離されたまま。それとも自分が知らない新しい波がどこかで起こっているのだろうか。ちなみに、友人の一人は京都の田舎に家を買った。確かに不便そうでもあるが、車を使った生活は、田園生活というよりは日本の地方都市の生活でもある。


もう一つ感じたのは、ウィリアム・モリスのように、芸術・文化を生活と結びつけるというやり方を、自分自身もできないか?ということ。もちろん自分はデザイナーではないけれど、例えば映画や詩を生活と結びつけながら、作ったり観たりということ。それらをさらにより多くの人と分かち合ったり、共有できるような仕組みを作ること。具体的なアイデアが思い浮かんだわけではないが、芸術=生活とするイギリス実践主義のあり方はとてもユニークで面白く感じた。かといって、イギリスがファッションや映画で飛びぬけているというわけではないのだが。やはりパリやニューヨーク(映画ならロス)が最先端なことは否めないにしても。ただ「デザインで世界をより豊かにする」というモリスの発想自体、それに撃ちぬかれた。この言葉こそ金言、発明ではないだろうか。


ウィリアム・モリス邸には展示以外にも、ショップやカフェなどがあって一休みすることもできた。そのカフェには、たまたま若い男性四人くらいの人たちがベビーカーを持って集まっていた。日本でそんな光景を見たことはないので驚きだった。彼らがどんな理由で集まっているのは分からないが、おそらく休日に妻の代わりに子守をしている感じ。それがとても自然で、普段からしているようなこなれた感じもある(そしてオシャレ)。日本なら、その中に女の人もいたりするものだが。男性だけ、というのが素晴らしいし最先端だなぁと。

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