イギリス紀行35

そのようなことを想像しながら、ロンドン塔の周囲をめぐっていると歴史のロマンを感じ、タイムスリップしたようだ。上記に書いただけでなく、イギリスは征服と計略の血みどろの歴史があることが分かった。日本では外から侵略というのを経験したのが元寇のときくらいで、それも運よく助かっている。その後は太平洋戦争まで、外に対しては平和だった。イギリスの場合は、バイキング(ノルマン人)やスコットランド、フランス、アイルランドなど、常に外部からの侵略がある。だから人種だって入り混じっている。また王様だって処刑されてる(清教徒革命にてチャールズ一世が、クロムウェルなど議会派により)。そういう意味では同じ島国でも、日本とは大違いの外交的な歴史である。


だからこそ、現在のイギリスにおける実践主義も生まれたのかもしれない。またEUから離脱して独自性を守ろうというのも分からないわけではない。最初にユースホテルで出会ったアイルランドの青年が、ブクレジット(EU離脱)のことを「興味ない(知ったこっちゃない)。」と言ったのも、それでもロンドンを楽しんでいるようなのも、長い歴史の果てである。イギリスとアイルランドにも長い闘争の歴史(北アイルランドをめぐる血みどろの戦い)があったりしたのだ。そういうことを知ると、改めて日本は平和だなと感じる。そしてその平和は、決して無料ではないんだと(現在はアメリカに守られている)。


そうこうしているうちに、少しづつ暗くなってきた。夜には空港から日本に帰国しないといけない。その前に軽く晩御飯だけ食べていきたいと、先述したインド料理店を訪れたのだが閉まっていた(この店を探すのにかなり時間かかったのに)。仕方ない、最後はパプで魚のフライをビールで流し込む。やはり美味。これぞイギリス流である。ほんと日本にもこういうビールが欲しい、と思っていたらとうとう二〇二一年にキリンからクラフトビールが発売された。飲んでみると、ラガーや生ビールとは全く違う。イギリスで飲んだあのビールの味に近い、これぞクラフトビール。

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